黒羽の舘代淨法寺何がしの方に音信る。思いかけぬあるじの悦び、日夜語りつゞけて、其弟桃翠など云が、朝夕勤とぶらひ、自の家にも伴ひて、親属の方にもまねかれ、日をふるまゝに、日とひ郊外に逍遥して、犬追物の跡を一見し、那須の篠原をわけて、玉藻の前の古墳をとふ。それより八幡宮に詣。與市扇の的を射し時、別してハ我國氏神正八まんとちかひしも、此神社にて侍と聞バ、感應殊しきりに覚えらる。暮れバ桃翠宅に帰る。修験光明寺と云有。そこにまねかれて、行者堂を拝す。
夏山に足駄を拝む首途哉
一 四日 浄法寺図書ヘ被招。
4日(新暦22日)晴 黒羽 浄法寺図書