ことし元禄二とせにや、奥羽長途の行脚只かりそめに思ひたちて、呉天に白髪の恨を重ぬといへ共、耳にふれていまだめに見ぬさかひ、若生て歸らばと、定なき頼みの末をかけ、其日漸早加と云宿にたどり着にけり。痩骨の肩にかゝれる物先くるしむ。只身すがらにと出立侍を、帋子一衣ハ夜の防ぎ、ゆかた・雨具・墨筆のたぐひ、あるハさりがたき餞などしたるハ、さすがに打捨がたくて路次の煩となれるこそわりなけれ。
廿八日 マヽダニ泊ル。カスカベヨリ九里。前夜ヨリ雨降ル。辰上尅止ニ依テ宿出。間モナク降ル。午ノ下尅止。此日栗橋ノ關所通ル。手形モ断モ不入。
28日(新暦17日)時々雨 間々田
間々田まで日光街道。途中、栗橋の関所を通る。私は日光街道は前に歩いたので小山までは鎌倉街道を歩いてみた。奥の細道を歩く方は、私の歩き旅の記録ではなく、このルートマップを参考に歩いてください。