笠島

奥の細道本文

鐙摺白石の城を過、笠嶋の郡に入れば、藤中将実方の塚はいづくのほどならんと人にとへば、是より遥右に見ゆる山際の里をみのわ笠嶋と云。道祖神の社、かた見の薄今にありと教ゆ。此比の五月雨に道いとあしく、身つかれ侍れば、よそながら眺やりて過るに、蓑輪笠嶋も五月雨の折にふれたりと、

 笠嶋はいづこさ月のぬかり道

岩沼に宿る。

随行日記

一 三日 雨降ル。巳ノ上尅止。飯坂ヲ立。桑折(ダテ郡之内。)ヘ二リ。折々小雨降ル。

一 桑折トかいたの間ニ伊達ノ大木戸(國見峠ト云山有。)ノ場所有。コスゴウトかいたトノ間ニ福嶋領ト(今ハ桑折ヨリ北ハ御代官所也)仙台領(是ヨリ刈田郡之内。)トノ堺有。左ノ方、石ヲ重而有。大佛石ト云由。さい川ヨリ十町程前ニ万ギ沼・万ギ山有。ソノ下ノ道、アブミコブシト云岩有。二町程下リテ右ノ方ニ次信・忠信が妻ノ御影堂有。同晩、白石ニ宿ス一二三五

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説明

3日(新暦19日)雨、折々小雨 白石

 飯坂温泉から桑折まで、奥州街道に出て行ったのか山際を通って行ったのか悩んだが、芭蕉ドットコムなどでは山際の道としているのでそちらにした。桑折からは伊達の大木戸、鐙毀を経て奥州街道で白石へ。 随行日記の「万ギ山(馬牛山)」は、馬牛沼の後ろの山とのことだが、どの山か不明。
 本文では、笠島を右に見て岩沼に泊まったことになっている。笠島は岩沼の先の左にあり、随行日記によれば白石に泊まったことになっている。

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